患者さんへ

放射線治療は手術・薬物療法と並ぶ、がん治療の3本柱の１つです。放射線治療は、様々な種類・進行度のがんに適応があり、根治（がんを治す）目的から緩和（がんによる症状を和らげ、生活の質を向上する）目的まで幅広い目的で利用されます。近年の放射線治療の技術的進歩はめざましく、強度変調放射線治療（IMRT）や定位放射線治療（SRT）といった高精度放射線治療では、効果が高く、副作用の少ない治療が可能となっています。当科では、多職種（医師、放射線技師、看護師、事務員）が協力することで、質の高い治療を安心・安全に患者さんに受けていだける体制をとっています。
また、がん治療においては、複数の治療方法を組み合わせた集学的治療が必要となることも多いため、当科では関連診療科と密に連携することで、個々の患者さんに最適な治療を提供できるように努めています。

当院の放射線治療の特徴

当院の放射線治療センターは、トモセラピーの最新プラットフォームであるラディザクトシステムを導入し、2018年4月から放射線治療を開始しました。トモセラピーは、高精度放射線治療（IMRT、SRT）を得意としており、当科では高精度放射線治療を積極的に実施しています。

●IMRT: 放射線のビームに強弱をつけることで、病巣の複雑な形状に沿い、かつ、周囲正常臓器をなるべく避けた照射を可能にする方法。

●SRT：小さな病巣に対して、多方向からビームを集中することで、大線量を短期間で照射する方法。

さらに、当院のトモセラピーには、最新鋭の動体追尾照射システム（シンクロニー）が搭載されており、呼吸等により体内で大きく動く腫瘍を正確に追尾して照射することが可能であるという大きな強みがあります。この動体追尾照射は、従来法とは異なり照射範囲を大幅に縮小することができるため、より副作用の少ない治療が可能です。当院では2020年にシンクロニーによる追尾照射を、肺腫瘍に対してはアジア初、肝腫瘍に対しては世界初で実施しました。  メーカーのプレスニュースにも掲載されました 2023年からは、シンクロニーによる追尾照射を前立腺癌に対しても適応することで、前立腺癌に対する定位放射線治療を開始しています。 文献へリンク

前立腺癌に対する動体追尾照射による定位放射線治療